タイ政府の規制緩和により「医療大麻関連ビジネス」に参入したいというご相談を、多くの方から受けております。
また、タイの法律を吟味されないうえで医療大麻関連事業を始めてしまった外国人の逮捕も徐々に目立ってきておりますので、タイの法律を十分理解して行動していただければ幸いかと思います。
タイで医療大麻(マリファナ)の合法化
医療大麻は合法化されましたが、タイでは、娯楽目的での大麻の嗜好については、これまでのタイ刑法により違法であり、マリファナの所持でも5年以下の実刑が適用されます。また、販売目的や大量に所持していた場合には最長で15年、使用に関しても10年以下の禁固刑となる重罪となります。
タイ政府は、2018年12月に医療大麻を合法化し、大麻の医療目的と研究目的での使用を認可しました。2020年1月に大麻が禁止薬物リストから削除されて一部の研究所で栽培プロジェクトを開始した後、2020年8月に民間に医療大麻の栽培と販売を許可しており、大麻によるメディカルツーリズムも合法化へ進みましたが、大麻の栽培および販売は、タイ国内産業の保護を目的としており、現在のところ、2024年までタイで認可を得た生産者に限定されています。
しかし、2019年には、1979 年に制定された危険麻薬保護法を改版し、2020年に新たな危険麻薬保護法を制定した。その保護法により、医療用や病気の治療のために、第5カテゴリーの危険麻薬である大麻の生産を許可しましたが、その原則・方法・条件は省令に従い申請をし、許可書を取得する必要があります。
危険麻薬保護法により大麻を栽培できる人
- 政府機関や医療、医療用製薬、科学、農学などの研究を目的とする教育機関、麻薬取締局 と 赤十字
- 厚生大臣が定めた条件に従った医療従事者、医療従事者とは、医師、薬剤師、歯科医、タイ獣医師、タイ伝統医などを指す
- 農家が密集する地域企業や、法律に従って登録(登記)している農業協同組合、 または、教育機関や政府機関と協力関係にある農業協同組合の出願者は、下記の※付加条項がある。
※個人の場合は、タイ国籍であることとされているため外国人は不可。また、タイに住所を持っている人。また、法人の場合はタイの法律に従って登録し、株主や取締役の 3 分の 2 はタイ国籍者であり、タイ国内に事務所を維持している事が付加条項となっている。大麻の栽培許可審査には、多くの指針を定めており、各項目について検討されたうえで許可の可否が決定される。
医療大麻における広告物許可申請手続き
医療用大麻を使用した医療行為における宣伝広告についての法律案が起案されている状況下で、現状は未完成であるため公式発表されておらず、大麻に関する情報を広告する場合、食品医薬局事務局長から許可を取得したうえで大麻に関する情報を広告することができます。
医療大麻の栽培と販売許可を得た学術情報として医療従事者(医療従事者とは、医師、歯科医、獣医師、薬剤師、タイ方医師、タイの応用伝統医師、 タイ伝統医などを指す)で、すでに許可されている医療機関名や所在地の場所内での広告・宣伝(例外規制あり)については、認証者による承認は不要ですが、それ以外の組織などが、医療機関などとの提携や委託により広告をすることは不可となります。
また、医療機関に関する広告又は告示が外国語で作成されている場合、実施権者や医療機関 の管理者は、それをタイ語に翻訳して翻訳認証を取得したうえで政府機関認可者に提出し検討してもらう必要があります。その他、医療機関以外の場所で広告する場合は承認が必要となり、同様に認可者から承認が必要です。例えば、路上や医療機関前の看板、デパートなどの設置看板、医療機関内外に張り付ける貼付物、医療機関以外で使用する書類やオンラインでの広告などが、承認申請の対象となります。
最後に
タイの法律では、基本的に薬物に関する罪は重罪ですが、医療用として合法化された現在でも、許認可や承認の必要性と細かい規定が厳重に定められています。その中で、不正規な宣伝や入手した大麻製品を正規品と偽り販売するビジネスも後を絶ちません。ですので、タイで医療用の大麻を処方してもらいたい方も、認可を受けた医療機関にて治療を行うことをお勧めします。
タイ在住支援法律事務所では、タイの法令や規制など、タイの法律に関する法令調査や特殊分野の規制詳細調査を行い、「法令調査報告書・リーガルオピニオンの作成」が可能です。また、タイでビジネスを行う際は、法令を吟味したうえでリスクを取り除いたうえで利益追求を可能とする当事務所のプロフェッショナが弁護士とコラボでビジネスコンサルタントを行います。少しでもご不安がある場合は、ビジネスを手掛ける前に、お気軽にご相談にお越しください。