先日のニュースで、ラチャブリ県に住むタイ人の住宅に税務署が立入検査をして、海外の免税店で購入した8本の洋酒を没収、3万バーツ余の物品税を追徴したという事件を報道していました。
このタイ人は、海外に出かけた際に数回に渡って免税店で洋酒を購入し、自宅で保管していただけだそうです。
免税品に課税って?
不思議なことですがメディアの取材に対して物品税局長が以下のような説明をしていました。
今回の家宅捜査は、そもそも脱税の摘発が目的ではなく、賭博で使用するトランプを不法に所持しているとの情報を当局が入手したのがきっかけだったそうです。そこで立ち入った住宅で印紙で封印されていない洋酒を発見したので、脱税酒と見なして押収・課税したのだということです。
ただし、本当に免税店で購入したことを証明できる領収書などの書類を提示すれば課税した分は戻すとのことでした。領収書がない場合には旅券に記載された渡航記録で本当に海外に行っていたかどうかを確認する、と言っていました。
タイの場合には、アルコール類の免税は1人1回の入国につき1リットルまでで、それ以上の持込は1リットル当たり最大で1000バーツまで課税されます。
今回のケースでは、8本ですから、せいぜい8000~1万バーツ程度の課税だと思いますが、3万バーツも追徴されたのは、なぜか?・・・については報道されていません。
「トランプ賭博関連」で立ち入ったとのことですのでそちらの罰則金などが含まれているか、納税遅延による遅延金が発生したか、あるいはその双方かもしれません。
いずれにしても免税品というのは、そもそも「海外に渡航する際に日常的に消費している嗜好品が海外では入手しにくいであろう」との配慮から、個人消費目的の嗜好品に対して課税しない物品を提供するものだそうです。
このため免税の対象になる数量が、個人消費に見合う量に限定されているわけです。お土産とかで大量に購入することは前提にしていないわけです。もちろん転売目的で購入することもダメ。そのため免税上限数量を超えて持ち込む場合には課税されるわけです。
タイでよくあるタバコの持ち込みの事例
【事例①】
ある方が日本からタイに来る際に、日本の免税店でタバコを数カートン購入してタイに持ち込んだことがありました。
その方は、入国審査と税関を無事通過して、旅客ターミナルに出てきたところで物品税局の係官に呼び止められ、免税上限を超えるタバコを持ち込んだとして、わざわざ都内の税務当局まで連行され、その場で数万バーツの税金を追徴されました。
免税店の袋に入ったタバコ数カートンを手に持って歩いていて「見つかった」そうです。
「手荷物の中に入れておけばよかった」と嘆いていました。「都心までのタクシー代が浮いたのが不幸中の幸い」と笑っていましたが・・・。
それにしても、税関審査を通過した後に捕まえるとは税務当局の手口も複雑になってきたな、と妙に感心させられたことを覚えています。
【事例②】
次に、ある旅行者3人が日本で購入した免税品タバコを、3人合わせ17カートンをタイへ持ち込もうとし、多額に徴収された事例です。
免税品の袋の多さが物品税局の目に留まるのも仕方ないとも言えませんが、パスポートコントロールの行列に並んだ瞬間に物品税局員に呼び止められ税局員の別室へ連れていかれました。
部屋では5,6人の物品税局員に取り囲まれ、最終的に3人合わせ全額で15万バーツの税金徴収をされたという、規定の徴収額の倍以上に請求された、という事例もあります。
タイへのタバコの持ち込みは、規定量(1カートンまで)を超える免税タバコ(納税シールのないタバコ・葉巻250g以上))を所持している場合、1カートン当たりの税金徴収は、約 4,785バーツ(日本円:約15,000円)を科されます。
しかし、上記の【事例②】では、物品税局員らに「タバコの種類によって徴収課税料が違う」と言われ、結果、倍近くの税金徴収を科されたというわけです。持ち込んだタバコは、規定量を含むすべてを没収され、15万バーツを支払い事を終えました。
日本との往復などで手軽に購入する免税品ですが、万が一のためにいくつか気をつけておくべきことを下記に付け加えておきます。
免税品の購入後に気を付けておくこととは?
1つは、領収書を必ず保管しておくことです。これは何年経っても、消費するまで持っていた方が良さそうです。
贈答品などで他人に渡す時は領収書も一緒に渡した方がいいですね。
「値段がバレるからなぁ」と、贈答品は値札を外すのが当たり前かもしれませんが、ここは相手に事情を説明して受け取ってもらった方が無難です。
もう1つは、免税品は持ち歩く時でも自宅などに保管する時でも余り目立ち過ぎないようにすることです。特に、品物自体は違法な品物ではありませんが、見つかると冒頭の「タイ人の住宅に税務署が立入検査をした」ケースのように、いろいろ面倒なことに巻き込まれる可能性があるからです。
物品税局は通常、むやみやたらに民家を家宅捜査するような権限は持っていないので、今回のニュースは 、あくまでも特別な事例ですが、用心に越したことはありません。