タイ在住支援事務所へ法律相談に来られる相談者の中には、本当に様々な人がいます。その中でもよくあるのが、弁護士が事件やトラブルの詳細をお伺いしている際に、依頼者(相談者)が「嘘をつく」「隠しごとをする」ということが、本当によくあります。
弁護士には、「自分な不利な部分や恥ずかしい部分を隠しておかないと、弁護士との関係性が悪くなったり、事件の解決の不利になってしまうのではないか」と、ついつい「これは、言わないでおこう」と隠し事をしてしまう相談者もいらっしゃるようですが、本当に安心していただいて大丈夫です。
弁護士も法律も依頼者にそんなに厳しくないですし、何よりも弁護士は、依頼者の見方です。依頼者が過去に何かのミスや失態を犯していようが、何を言っていたとしても、弁護士は依頼者の絶対的味方になるわけですから、法に許される範囲内ですが、必ず依頼者の最大限の利益が出るように弁護をして支援をしていきます。
弁護士が依頼者に対して、「あなたが原因じゃないですか」、「問題の発生元はあなたじゃないですか」、「相談者のあなたにも非が十分あるじゃないですか!」と追い詰めたりはしませんし、「あなたの様な人の弁護はできない」と見捨てたりすることも絶対にありません。
しかし、とても残念な事なのですが、そのような、私たち弁護士の思いが依頼者(相談者)に、しっかりと伝わっていないのかもしれません。依頼者が「自分の不利だと思う点を隠す」「不都合なことを黙っている」「言うと恥ずかしいから、そこだけは省いて言わないでおこう」などという結果となってしまう場合があるのです。
しかし、そんなケースの場合、弁護士も前もって依頼者から話を聞いているわけではなので、依頼者が隠していた不利な点や不都合なことに対して、予め保全措置ができません。そして、そのことから、本当に災難を招く結果に繋がる場合があります。
弁護士は、依頼者(相談者)にそんな裏があるとは知る由もないので、それを知らないまま相手(相手弁護士)との交渉に及んだり解決を図ることになります。そして、後々、その隠し事や依頼者の不利な点が、交渉相手や、こちらから訴えた相手の証拠により、裁判で事実が浮き彫りになったりと、何かの拍子で真実が顔を出します。そんな事態に突入して、初めて依頼者に事実確認をしてみると、「すみません…。実は…お伝えしていなかったのですが…。」なんてことが結構あるのです。
そうなってしまってからだと、最初に立案した法的措置の計画を最初から抜本的に見直すことになってしまったり、そもそも法的措置自体の方向性が違っていた場合は、それまで進めてきた準備や業務がすべて無駄になってしまうのです。最悪の場合、解決自体が困難に至ってしまいます。
最初から弁護士が、すべてを知っていれば、依頼者(相談者)が、ちゃんとすべてを語っていてくれてたら、なんら問題なく図れていた事前措置も、依頼者が「隠し事」をすることによって、その問題に対する対策や事前措置ができていないので、当然、結果は最悪です。
弁護士側にも、「きちんとした信頼関係が築けてなかった」、「心を開いて貰えてなかった」、「聞き取りが甘かった」という原因はあるのでしょうが、そうは言っても、最初から根掘り葉掘り強引に、依頼者(相談者)が話さないことを、「本当は、こうなんじゃないですか?」「ここは、あなたにも○○なところがあったのでは?」と、聞き出すなんて事はなかなか出来ないものです。弁護士は、依頼者(相談者)の言っている事をある程度は信頼して、力を合わせて問題解決を進めていくわけですから、最初から「依頼者は何かを隠しているだろう」「嘘言ってるんではないのか」なんて姿勢で、事件解決の受任を引き受けてはいないのです。
弁護士は、できる最大限の解決を図る為に、真実の全容をすべて把握したうえで、依頼者にとって最良と思われる得策を考案し、依頼者を弁護して法的支援をしていきますので、何しろ包み隠さずお伝えしてほしいと思うのです。弁護士へ「伝えるべきか」「伝えないべきか」といった不安や、「恥ずかしいから」などという感情を抜きにして、依頼者自身の、本来解決すべく問題に目を向けてもらい、全力で潤滑な解決を図れるよう協力していただきたいのです。